連結納税制度の適用対象法人は次のように規定されている(法4の2)。

 

以上の連結親法人となれる法人・なれない法人及び連結子法人となれる法人・なれない法人を整理すると次のようになる。

 

 

(※1)連結親法人も、連結子法人もともに内国法人に限られる。

外国法人は日本での課税権が制限されるため、他の法人と一体として課税することはできず、連結親法人にも連結子法人にもなることはできない。

 

(※2)イ.連結親法人は普通法人又は協同組合等に限られている。

公益法人等は課税所得の範囲が異なり、他の法人と一体として課税することはできないため連結親法人となることはできない。

   ロ.一方、連結子法人は普通法人に限られる。

普通法人以外の法人は連結除外法人に該当するためである。(法4の2カッコ書)。

 

① 清算中の法人は連結親法人となることはできない。

 

①-1.清算中であっても連結子法人となることはできる。

ただし、破産手続の開始決定を受けた法人は、破産管財人の管理下に入り破産手続を行うこととなるため、連結子法人となることはできない。

 

② 普通法人(外国法人を除く)又は協同組合等による完全支配関係がある法人(つまり、他の内国法人に発行済株式総数の100%を直接・間接に保有されている法人)は、連結親法人となることはできない。

 

②-1.連結子法人は、もともと100%保有されている法人をいうので、関係ない。

 

③、③-1.「資産の流動化に関する法律」に規定する特定目的会社(SPC)は、法人税法     上、いくつかの特例措置が設けられており、課税方式を異にする法人の所得を一体として課税することは適当でないため、連結親法人又は連結子法人のいずれにもなることはできない。

例えば、

以上のように、一定の要件を満たすSPCが支払う配当は、SPCの所得の計算上、損金の額に算入される(措法67の14①)。

また、SPCからの配当を受け取ったA社では受取配当金益金不算入の規定は適用されず益金の額に算入される(「第11章受取配当金益金不算入」参照)。

したがって、A社とSPCの合計所得に対する影響はないこととなる。

一方、連結納税を適用した場合は、連結子法人からの配当金は全額が益金不算入となるため、連結所得には影響しない。

このように所得に対する影響はいずれもないため、SPCをあえて連結子法人にする必要がないため。

 

④、④-1.「投資信託及び投資法人に関する法律」に規定する投資法人は、上記③、③-1.同様、連結親法人又は連結子法人のいずれにもなることはできない。

 

⑤、⑤-1.法人課税信託(注)に係る法人税法第4条の7に規定する受託法人は、連結親法人又は連結子法人のいずれにもなることはできない。

(注)ここでの法人課税信託は次のものに限られる。

イ.「投資信託及び投資法人に関する法律」第2条第3項に規定する投資信託

(法②二十九の二二)

ロ.「資産の流動化に関する法律」第2条第13項に規定する特定目的信託

(法②二十九の二 ホ)

 

⑥、⑥-1.帳簿の不備等により国税庁長官の職権により連結納税の承認の取消しを受けた法人(法4の5①)で、その取消しの日から5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないものは、帳簿の不備等による取消しに対するペナルティの意味もあり、連結親法人又は連結子法人のいずれもなることはできない。

なお、連結親法人が承認取消された場合は、連結子法人も承認が取り消されたものとみなされる。

 

⑦、⑦-1.やむを得ない事情により連結納税の取止めの承認を受けた法人(法4の5③)で、承認を受けた日の属する連結親法人の連結事業年度終了の日の翌日から5年を経過していないものは、取止めや再開始を繰り返すことによる租税回避防止の意味からも連結親法人又は連結子法人のいずれにもなることはできない。

 

⑧-1.連結親法人との連結完全支配関係(連結納税の承認を受けた完全支配関係をいう)   がなくなったことにより、連結納税の承認を取消されたとみなされた連結子法人(法4の5②五)で、その取消しの日から5年を経過する日の属する事業年度終了の日までの期間を経過していないものは、従来の連結グループに再加入による連結子法人となることはできない。

 

⑧ 連結子法人にのみ該当することで連結親法人には関係がない。

 

(※5)完全支配関係に該当しない場合

「完全支配関係」については、親法人が子法人の発行済株式(注)を直接又は間接に100%保有する関係であり、単体納税のグループ法人税制における完全支配関係と基本的には同様であるが、100%支配の頂点が必ず連結親法人となりうる内国法人であること、及び間接保有の取扱いについては異なっている。

 

(注)発行済株式数からグループ法人税制(第37章グループ法人税制3ページ参照)における判定同様下記のものは除かれる。

①自己株式

②従業員持株会および新株予約権の行使により取得された株式数との合計株式数が発行済株式(自己株式を除く)の5%未満のその株式

③名義株

④議決権のない株式

 

(※6)連結子法人の選択はできない。

連結子法人になることのできない法人を除いて、すべての100%保有子法人は連結子法人としなければならない。

一部の子法人だけを連結子法人とすることはできない。

 

(※7)国税庁長官の承認を得て初めて連結親法人、連結子法人となる。