(1)連結納税加入の手続き

連結親法人による完全支配関係が生じた場合は、その時点でその子法人はその連結納税グループに加入することとなる。

そして、その完全支配関係が生じた日(=加入日)に連結納税の承認がおりたものとみなされ、改めて連結納税適用の承認申請を行う必要はない(法4の3⑩)。

ただし、一定の書類を提出しなければならない(令14の7④)。

 

 

(2)加入形態と加入時期

連結納税への加入は、連結親法人による株式購入、新規に子法人を設立することの他、組織再編によって加入することもある。そして、それぞれの加入形態によって完全支配関係を有することとなった日(加入日)が定められている(連基通1-2-2)。

 

以上の他にも組織再編による加入には種々のものがあるが、ここでは<例>を示したものである。

要するに、組織再編によって新たに連結親法人との間に連結完全支配関係が生じる場合である。

 

 

(3)事業年度

1.原則

加入法人は、加入日(完全支配関係が生じた日)の前後で事業年度を区切り、加入日前までの事業年度については単体申告を行い、加入日以後の事業年度に連結申告を行うこととなる(法4の3⑩、14①六)

 

 

2.新設親法人の承認申請の特例を適用して連結納税を開始した場合の初年度加入

①時価評価不要な場合

最初の連結事業年度(連結申請特例年度)の中途で加入した子法人は、その加入日の前後でみなし事業年度を設けなければならない。

(注)時価評価法人については「Ⅲ-1.(3)連結納税の開始・加入に伴う時価評価」参照。

 

②時価評価を要する場合

連結申請特例年度終了の日の翌日(つまり、2期目から)から連結納税に参加する(法4の3⑪一、令14の8)。

また、時価評価法人である連結子法人が発行済株式の100%を保有する法人(連結親法人からみれば連結孫法人)についても、同様に連結申請特例年度終了の日の翌日(つまり2期目から)から連結納税に参加する。

 

 

3.月次決算期間の中途に加入した場合の特例

月次決算期間とは、法人の会計期間をその開始の日以後1月毎に区分した各期間をいう。

例えば、4月1日を開始日とした場合は次のようになる。

上記の月次決算期間の中途(月中)に加入した子法人については、一定の書類を納税地の所轄税務署長に提出することにより、翌月初に加入したものとして扱うことができるという簡便法(特例)が設けられている(法4の3⑩カッコ書、法14②一(イ))。

 

【例】

 

 

 

 

(7)加入があった場合の中間申告額

前連結事業年度に加入があった場合

前連結事業年度において加入した連結子法人があった場合における前年実績に基づく中間申告額の計算は、次のようになる(法81の19③一)。

 

【例】

 

【解答】

 

なお、以上の加入が外部の法人を被合併法人とする適格合併を起因とするものである場合においても、同様の計算となる(法81の19④二)。

ただし、その場合、被合併法人のみなし事業年度における確定法人税額は、当連結事業年度開始日から6ヶ月経過日の前日までに確定したものをいう。

 

 

 

当連結事業年度(上期)に加入があった場合

当連結事業年度の開始日から同日以後6ヶ月を経過した日の前日までの期間(「上期」という)において加入した連結子法人があった場合における前期実績に基づく中間申告額の計算は次のようになる(法81の19③二)。

 

【例】

 

【解答】

 

なお、以上の加入が外部の法人を被合併法人とする適格合併を起因とするものである場合においても、同様の計算となる(法81の19④三)。

ただし、その場合、被合併法人のみなし事業年度における確定法人税額は、当連結事業年度開始日から6ヶ月経過日の前日までに確定したものをいう。