(1)借地借家法上の借地権

借地借家法上の借地権は、建物所有を目的として、地上権又は土地を賃借する権利をいう。

そして、借地借家法上の借地権は、「普通借地権」と「定期借地権」に分けられる。

①普通借地権…賃貸借契約の期限が到来しても正当な事由がない限り更新される。

②定期借地権…契約期限が到来したときに更新はなく、原則として建物を取り壊して貸主に更地で返還される。そして、定期借地権には次の3形態がある。

イ.一般定期借地権(存続期間50年以上)

ロ.事業用借地権(存続期間10年以上50年未満)

ハ.建物譲渡特約付借地権(存続期間30年以上)

 

 

(2)法人税法上の借地権

借地権は、法人税法本法において直接的規定は存せず、法第65条において「各事業年度の所得の金額の計算の細目として政令で定める。」と規定されている。

法人税法上の借地権は「地上権又は土地の賃借権をいう。」と規定され、建物を所有する目的というように土地の利用目的は制限されていない(令137)。したがって、建物の所有を目的とするもののほかに、構築物の所有を目的とするもの、さらには、施設を設けないで物品置場、資材置場、駐車場等として更地で利用するためのものも含まれる。

ただし、借地上に登記されている建物が存在しない場合には、税務上、借地権が借主に帰属しているか否かは、諸々の事情を検討の上、総合的に判断されることになる。

なお、借地借家法上に規定のある定期借地権については、法人税法上特に規定されておらず、借地権に関する規定に包含されているものと考えられている。