1.各算定方法の優先劣後

上述した独立企業間価格算定方法の選定は、最も適切な方法を選定することになっており、各算定方法に優先劣後は関係ない。

国外関連取引の内容及びその国外関連取引の当事者(「売手と買手」等)が果たす機能その他の事情を勘案に決められることとなる。そして、高い機能を果たす法人は、高い付加価値を生み出し高い利益を得ることが期待される。また、高いリスクを負うことも同様に考えられる。

なお、勘案すべき要素としては、次のようようなものがある。

(措法66の4(2)-1、66の4(3)-3)

① 棚卸資産の種類、役務の内容等

② 売手又は買手の負担するリスク(注1)、著作権等の他、顧客リスト、販売網等の重要な価値のある無形資産等も考慮した売手又は買手の果たす機能(注2)

③ 契約条件

④ 取引段階、取引規模、取引時期、政府の政策の影響等も考慮した市場の状況

⑤ 市場への参入時期等も考慮した売手又は買手の事業戦略

⑥ 上記算定方法の長所、短所

⑦ 国外関連取引の内容及びその国外関連取引の当事者の果たす機能等に対する独立企業間価格の算定方法の適合性

⑧ 上記算定方法を適用するために必要な情報の入手可能性

⑨ 国外関連取引と非関連者取引との類似性の程度

(注1) リスク

リスクとは、経済事情の変化などのマーケットリスク、資産、工場及び設備への投資や使用に伴う損失のリスク、研究開発への投資リスク、為替相場や金利の変動などに起因する金融上のリスク及び信用リスクなどをいう。

(注2)機能

機能とは、例えば設計、製造、組立、研究開発、役務の提供、購入、販売、市場開拓、宣伝、輸送、資金管理及び経営など、売手及び買手のそれぞれが果たす役割などをいう。

 

 

2.独立企業間価格の算定方法等の事前確認制度

① 内容

事前確認(APA:Adrance Pricing Agreement)とは、納税者が税務当局に申し出た独立企業間価格の算定方法について、税務当局がその合理性を資料等に基づき検証し、その合理性について検証した上でこれに確認を与えるものである(「事務運営指針」に規定されている)。

 

② 種類

イ、国内(ユニラテラル)APA

国外関連取引の一方の当事者が所在する国の税務当局から確認をもらうもの

ロ、二国間(バイラテラル)APA

双方の当事者が所在する国、それぞれの国の税務当局から確認をもらうもの

 

③ 目的

納税者が選定した算定方法についての安定性を与えることにより、結果として移転価格事案の税務当局とのトラブルを未然に防止することにある。

 

④ 手続き

イ、事前確認の申出

「独立企業間価格の算定方法の確認に関する申出書」をその国外関連者の所在地国ごと必要書類を添付して提出する。

【提出期限】

事前確認を受けようとする事業年度(確認事業年度)のうち最初の事業年度開始の日まで。

ロ、審査及び通知

税務当局は、申出書の提出があった場合には、申し出た算定方法が適正であるか審査をする。そして、その審査結果を書面(「独立企業間価格の算定方法等の確認通知書」)により通知する。

ハ、報告書の提出

上記の通知を受けた法人(確認法人)は、確認事業年度の確定申告書の提出期限までに、「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する報告書」を提出する。

二、事前確認の取消し等

確認法人が事前確認の内容に適合した申告を行わなかったなどの事実がある場合には、既に受けた事前確認が取消される場合がある。

ホ、事前確認の更新

当初の事前確認対象事業年度が終了した後、事前確認を更新する場合には基本的に新規の事前確認と同じ手続きをすることとなる。