Ⅶ-1.特定の長期所有土地等の所得の特別控除

(1)趣旨

この制度は、いわゆるリーマンショック後の低迷する土地市場における土地需要を喚起し、土地の流動化と有効活用を推進する観点から平成21年度税制改正により創設された。

対象となる土地等の取得は平成21年及び平成22年の2年間に行われたものに限定しており、同期間における集中的な土地取得の促進を図るための臨時異例措置である。

 

 

(2)適用要件(措法65の5の2)

(※1)指定期間

平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間をいう。

 

(※2)取得

本制度の適用を受ける土地等の取得には、その法人と特殊の関係のある個人又は法人からの取得等は含まれない。(措法65の5の2⑦-.措令39の6の2)

 

(※3)所有期間

その取得された日の翌日から譲渡された日の属する年の1月1日までの期間をいう。

 

(※4)Ⅶ-2の圧縮記帳との関係

次節Ⅶ-2(2)(※4)(112ページ)参照。

 

 

(3)特別控除額

特別控除額として損金の額に算入される金額は、譲渡土地等の譲渡益と1,000万円(既控除額控除後)のいずれか少ない金額となる。

(注1)譲渡土地等の譲渡直前の帳簿価額

税務上の帳簿価額である。

(注2)所得の特別控除額

別表4で所得から減算する。なお、処分は課税外所得(純資産は増加するも所得は減少)として、「社外流出※印」欄に記載される。

 

 

Ⅶ-2.平成21年及び平成22年に先行取得した土地等の圧縮記帳

(1)趣旨

Ⅶ-1と同様(108ページ)。ただし、Ⅶ-1が免税措置であるのに対し、本制度は課税の繰延措置である点で異なる。

 

 

(2)適用要件(措法66の2)

(※1)指定期間

Ⅶ-1と同様、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間をいう。

 

(※2)取得

Ⅶ-1と同様、その法人と特殊の関係のある個人又は法人からの取得等は含まれない。

 

(※3)10年以内の譲渡(3月決算法人を例にとると)

 

(※4)Ⅶ-1の特別控除との関係

1,000万円特別控除と圧縮記帳のいずれの適用要件をも満たす場合とは、例えば、指定期間内にA土地とB土地を取得し、5年経過後(10年以内)に仮にB土地を譲渡したような場合が考えられる。

平成21年取得の土地の1,000万円特別控除は、平成27年1月1日以降のB土地の譲渡益に適用されるのに対し、圧縮記帳はA土地からみれば、B土地は他の土地に該当するため、A土地に対して適用される。

そして、B土地の譲渡益に対して1,000万円の特別控除を適用した場合には、圧縮記帳適用における「譲渡」から除かれているため(措法66の2⑭ニロ)、A土地に圧縮記帳を適用することはできないこととなる。逆にA土地に圧縮記帳を適用した場合には、B土地に特別控除を適用することはできない。

もっとも、譲渡したB土地が指定期間内に取得されたものでない場合には、そもそも1,000万円特別控除の適用はない。この場合は、A土地の圧縮記帳のみの適用が検討されることとなる。

 

A土地に圧縮記帳を適用した場合の処理は次のようになる。

 

(※5)積立金による方法

積立金による方法の詳細については、国庫補助金等の圧縮記帳(10~17ページ)参照。

 

 

(3)圧縮限度額

1.圧縮限度額の計算

(注1)譲渡土地等の譲渡直前の帳簿価額

税務上の帳簿価額である

(注2)譲渡事業年度においてこの規定の適用を受ける先行取得土地等が、平成22年中に取得されたもののみである場合は60

(注3)平成21年先行取得土地等と平成22年先行取得土地等の両方がある場合は、平成21年先行取得土地等の取得価額から圧縮記帳する(措法66の2④)。

(注4)先行取得土地等が2以上ある場合(措法66の2①)

譲渡益の80%(又は60%)に相当する金額(条文上はこれを「圧縮限度額」と定義している)のうちに他の先行取得土地等に係るこの制度の適用を受ける部分がある場合には、その譲渡益の80%(又は60%)相当額から他の先行取得土地等の取得価額を控除する。

 

【参考】

他の圧縮記帳における場合と同様に、譲渡益をベースに算式を示せば次のようになる。

分母が譲渡資産の譲渡対価ではなく、譲渡益×80%(又は60%)となっているところが、他の圧縮記帳とは異なっているので注意を要する。

<例①>譲渡益 100、 譲渡対価 150、 先行取得土地の取得価額 40

<例②>譲渡益  10、 譲渡対価 100、 先行取得土地の取得価額 40

(注)10×80%= 8 < 40  ∴ 8

(※)なお、本件は土地等の圧縮記帳であるため、他の圧縮記帳における先行取得資産が減価償却資産の場合のような圧縮額の調整は必要としない。

 

 

2.圧縮記帳後の取得価額(措法66の2⑥)

 

【設例】

 

【解答】

平成21年と平成22年の両方に先行取得資産がある場合は、平成21年取得分から先に適用する。

<21年取得した土地A>

圧縮限度額

②200,000千円

③ ①>②  ∴200,000千円

<22年取得した土地B>

圧縮限度額

①280,000千円-200,000千円=80,000千円

②100,000千円

③ ①<②  ∴80,000千円