(1)趣旨

圧縮記帳制度とは、例えば国から固定資産の取得を目的として国庫補助金をもらった場合、返還を要する国庫補助金は、当然に仮受金等の負債であるが、返還を要しない補助金は収益として益金の額に算入される。一方で、この補助金で取得した一定の固定資産については、補助金相当額をその取得価額から減額して損金の額に算入することを認めることによって、課税の繰延べを図るという制度である。

国庫補助金1,000の交付を受け、その補助金と自己資金を合わせて1,500の建物を取得した場合、

国庫補助金収入1,000は益金の額に算入され課税される。そこで、補助金収入に相当する額を損金(圧縮損)として計上することにより結果として、補助金収入と相殺されることとなる。

以上からわかるように、この圧縮記帳は第6章の特別償却同様に、翌年度以降に法人税を取り戻すことを前提とした課税の繰り延べ制度であって、非課税とするものではない。

 

例えば、取得価額1,000(期首取得)、耐用年数5年、定額法(償却率0.200)

このように、圧縮記帳すると、毎年の減価償却費が小さくなり、結果的に2年目以降の所得金額がその分大きくなる。以上は減価償却を通じて取り戻す場合であるが、売却や除去等によった場合においても、圧縮記帳を適用した場合は帳簿価額が小さくなっているため売却や除去等が行われた時に取り戻されることとなる。

 

 

(2)圧縮記帳の種類

圧縮記帳制度は、法人税法に規定されている圧縮記帳と租税特別措置法に規定されている圧縮記帳がある。法人税法上の圧縮記帳制度は、国庫補助金等の特殊性や保険金等による資産の取得、交換による資産の取得における同一の資産の取得の事情から設けられたものであるのに対し、租税特別措置法上の圧縮記帳制度は、国の国土利用政策、土地政策等の観点から設けられた特例措置である。

 

1.法人税法上の圧縮記帳

①国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳(法42~44)

②工事負担金で取得した固定資産等の圧縮記帳(法45)

③非出資組合が賦課金で取得した固定資産等の圧縮記帳(法46)

④保険金等で取得した固定資産等の圧縮記帳(法47~49)

⑤交換により取得した資産の圧縮記帳(法50)

以上のうち、①、④及び⑤について取り上げることとする。

なお、②については、①と類似する制度であるが、①は特別勘定制度があるが、②はない点が相違する。

 

 

2.租税特別措置法上の圧縮記帳

租税特別措置法上の圧縮記帳は、数多くの規定があるが、そのうち、重要な次の3つについて取り上げることとする。

①収用等の圧縮記帳(措法64,64の2)

②特定資産の買換えの圧縮記帳(措法65の7,65の8)

③平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の圧縮記帳(措法66の2)

 

 

(3)圧縮限度額の考え方

圧縮記帳における圧縮限度額計算の基本的考え方は、利益の繰延がその目的である以上、利益を限度とするというものである。したがって、利益を超える圧縮損は認められないし、譲渡損のような損失を伴う取引ついては圧縮記帳の適用はない。

例えば、資産の譲渡が行われた場合、


上記の例では、圧縮限度額は最大、譲渡益の1,500までということである。なお、具体的な圧縮限度額の計算は、それぞれの圧縮記帳のところで以下詳述する。