後継者と株式所有
2015-10-13
Q. 後継者は何故、株式の所有に拘るのか。
A
会社を経営していく「力」が不足している証拠ですが、後継者は創業者と違い、会社への貢献が少ないので仕方ないことです。あせらず、会社への貢献を図ることに努力することです。
解説
(1) 株式の持つ経営力
会社法上は、会社は株主のものという建付けになっています。
したがって、株主総会は会社の最高意思決定機関で、役員の人事権を握っており、会社の重要な経営方針を決めることもできます。このような会社経営に大きな影響を与えることのできる株主権(株式所有)に、後継者が拘るのも無理はありません。
また、事業承継問題に携わる人の多くが、「株式はなるべく後継者に集中せよ。」というのも頷けます。
(2)経営力の源泉は何か
株主権が経営に大きな影響を与えることは前述したとおりですが、株主権以外に会社経営に大きな影響を与えるものはないのでしょうか。
経営力には大きく分けて3つあります。
以上の3つは、実は貸借対照表(B/S)の貸方(右側)に表われています。
ファイナンスも、会社によっては会社の存続を左右する重要なもので、この資金の提供者(たとえば銀行、仕入先など)も会社経営に大きな影響を与えます。
通常、後継者がこの資金提供で貢献しているケースは少ないでしょう。
最後の利益貢献は、創業者の多くがもっている経営力の源泉です。
よって、創業者はあまり株式の所有に拘りませんが、後継者はこの点で十分でないと思われますので、株式所有に拘るのもよく理解できます。
(3)事業承継成否のポイント
上述した利益貢献の程度こそが、事業承継を成功に導くポイントなのです。
このことに創業者も後継者も気づいていない人が多いのは残念です。